ブックタイトル甲府工業高等学校同窓会誌2015

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概要

甲府工業高等学校同窓会誌2015

質実剛健の精神は永遠に昭和60年度 機械科2組卒業クラス代表幹事萩 原 昌 晴 「こぴっと」・・2014年流行語大賞にノミネートされた。久しぶりに聞いたこのフレーズであのシーンが一気によみがえる。『甲斐の山脈~あっけ~ゆく空の~、あかるきこころ~・・・・』「ドンドンドン(太鼓)ちっこ~い。こぴっと歌え!!最初からだ!!」 甲府工業入学と当時に毎日が緊張と恐怖の連続だったこの応援練習。応援団が横を通る度に腹の底から声をだし、精いっぱいの拍手をした。後ろからは叱責されているであろう声が体育館に反響しながらあたり一面に響き渡る。「こぴっとやれ!!わかったか!」周囲に守られながら育ってきた中学からあがりたての坊主に、それまで経験したことのない至極強烈な印象を与えた。ちょっとした体罰・叱責などが悪として学校がやり玉に上げられる昨今、現代であればモンスターペアレンツがここぞとばかり牙を向けてくるかもしれない・・・。このような厳しい体験から高校生活がはじまった。今考えてみるとこの多感な時期に、このような緊張と恐怖を経験した事はとても貴重で、【嫌なこと⇒逃げたい⇒でも頑張らねば⇒逃げない⇒やり遂げる】といった感じで、生き抜く力の源を育みながら、その後の3年間のさまざま行事・体験を通して「質実剛健の精神」が根付いていったのだと感じる。 「はい出席を取ります。」と山本晃先生が黒い出席簿を抱え、少しキー高の一声から毎日が始まっていた。「青柳・赤沢・芦沢・上田・落合・風間・・・・増尾・山下・渡辺」3年間クラスも席の位置も変わらず、今でも出席番号を順番通り復唱でき当時の顔も目の前に浮かぶ・・。旧校舎の土足の教室は掃除をすれば土煙が上がり、煙突付きのストーブからはのヤカンの蒸気が立ちのぼる。そんな教室内は右を向いても左を向いても男男男。体育祭のチーム戦では組み分けでジャージを裏返し、棒倒し・騎馬戦ではちょっとした流血戦が繰りひろげられる。むさ苦しい学ランだらけで飾り気のないまさに「質実剛健」の生活は今でも瞼の裏に焼き付いている。 卒業して30年が過ぎようとしているが、私の中ではこのM2のクラスメイトと出会い交流できたこと、また担任の山本晃先生をはじめ、個性・経験豊かな機械科の先生方や一般教科の諸先生方にご指導いただけたことは今でも貴重な財産として残っている。この時期の出会いや体験を通して自我の骨格が形成され、今の自分があるのだなと痛感している。あらためて甲府工業高校の同窓生であることに誇りを持ち、喜びを感じそして感謝したい。 過日、会社のとある面接で「あなたの座右の銘は?」と不意に聞かれた私は、何のためらいのなく「質実剛健」と答えた。人生の折り返し地点もすでに経過したが、若き日に体に染み込んだ「質実剛健の精神」は今後も永遠に続くだろう・・。同 窓 会 会 員 だ よ り甲府工業高等学校 同窓会総会 2 0 1 5 037